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支払いを終え、二人は席を立った。
「ここからの夜景が最高なんだよな・・・」
武士は今宵のひと時の夢心地に酔っていた。イケメン気取りで・・・。
そう言った途端に足元がよろけた。
「だ、大丈夫・・・」
「ちょっと、めまいが・・・」
「お客様、大丈夫ですか・・・」
二人の男が駆け寄って来た。清潔が売りのウエイター姿に似つかわしくない髭面の男と初老の男。その二人が山本の身体を両サイドから支えて前方に向けて歩み出した。
「す、すいません」
「お連れ様は、ちょっとお疲れのようです」
髭面の男は不安そうに顔を近づけて来た朱里に数枚の紙幣を握らせ、耳打ちした。
「また、次も頼むは・・・」
それだけ言うと、『スタッフ専用』とかかれた扉の向こう側に姿を消していった。代わりに朱里の手には20万円の金が残った。
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