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３．グルメレポーター
山本は週刊雑誌スクーパーのオフイスで朝を迎えた。昨今のオフイスと言えば、机上はパソコンに占有され、情報は全てパソコンの中。机の上は整理整頓されているものだが、そこが出版業界のプライドか、出版自身は電子化が進んでも、依然、机の上は資料という名の紙の山。
「おはよう、今日も早いな」
「ああ、デスク、おはようございます」
山本が顔を上げると、デスクが鼻先に紙コップのコーヒーを突き付けた。
「昨夜も徹夜か・・・。熱心に何を追っているのだ」
「こ、これです」
山本は資料の山から一枚のFAX用紙を取り出した。
「東方見聞録っていうお店をご存知でしょうか。グルメレポーター沢民子（さわたみこ）」
「今どきFAX用紙に手書き文字って時代錯誤しているな」
デスクはコーヒーを啜りながらそう返事を返した。
「よほど情報漏洩を恐れているらしいな」
「そうなのですよ。そこでネットで東方見聞録ってお店を調べてみたのですよ。有楽町にある高級レストランらしいのですが、料理の質の割にべらぼうな金を踏んだくっているらしいのですよ」
「それだけじゃ、記事にならないだろ、うちはグルメ雑誌で食っている訳じゃないのだ」
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