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1.最高の料理
「ここからの夜景が最高なんだよな・・・」
山本武士(やまもとたけし)はワイングラスを片手に向かいに座る朝倉朱里(あさくらあかり)に語り掛けた。
「何をカッコつけているのよ。夜景にうつつを抜かす暇があったら回りにもっと目配りしなさいよ。あんた、調査に来たのでしょ」
「ここまで来てお説教はよせよ。今日は特別の日だぜ。それにオレ達は誰からも見ても、正真正銘のカップル。固い事ばかり言うなよ」
武士は美人の朱里を前にして心浮かれる自分を隠せなかった。
「そうね、あたしらはカップル。そうよね」
朱里はもちろん武士のふざけた態度が気にいらなかったが、さりとてケンカばかりもしておられない。ここ、船上レストランは愛を語り合う恋人たちの憩いの場、似つかわしくない態度を続けると、場から浮き上がって目立ってしまう。朱里はワイングラスを手に取ると、窓越しに広がる夜景に目をやった。正確には窓ガラスに映る人々の姿に・・・。
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