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「あの…八雲さん?」
頭の中での改装を終えた瞬間、魔女の方から声をかけてきた。
「ん?えっと…」
「アヤメです。それだけが覚えている事なので」
「んじゃ…ア、アヤメさん?何スか?(か、畏まるな!俺!!)」
「八雲さんに一つお詫びしないといけない事があるのですが、今話した方が良いですか?それともここは一先ず休んで明日改めてお話ししましょうか?」
「へ?い、いや!全然俺は今でも構わないスけど!!」
アヤメと名乗る魔女に対して、片言のように話す八雲。どうやら彼は女性と話すのが苦手のようだ。
「よかった…私ももう少しお話ししたかったので」
アヤメはそう言うと、微笑んだ。
その微笑んだ顔を見て、彼は
(ドッストライクじゃねぇか!俺のタイプだし!!)
と心の中で叫び、一呼吸置いて冷静になり…
「で、お詫びって言うのは?」
「実は…本来こちらに召喚する際には生身の人間を召喚するのですが…八雲さんをこちらに召喚する際、死亡した後――つまり火葬した後だった故に、生身の体が存在していなかった為、こちらで体を事前に用意しなくてはならなかったのです」
つまり…この世界に召喚されたのは、八雲の葬儀が終えた後だったという事である。
「えっと…どういう意味なんスか?」
「八雲さんの魂って魔力がとてつもなく強くて、それに耐えられる人間の体が見つからなくて、それで…その…」
(え…それって…まさか)
「八雲さんの魔力に一番合うダークエルフの体を用意する事になりました。すいません!」
(ダ、ダークエルフ?!)
アヤメの謝罪に不安を覚えた八雲は、慌てて近くにある鏡に走っていき、自分の姿を見た。
金髪の長髪に、やや濃いめの小麦色の肌にアメジスト色の瞳の耳がとんがった男が立っていた。
「こ、これが…俺?」
「す、すいません…ちゃんとしたのを探したのですがコレが精一杯だったもので…」
「だぁ…」
「だぁ?」
「大好き!これ、めっちゃ好き!!」
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