透明人間の誤算

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透明人間の誤算

ナズナは、盗賊ギルドに所属している。 人に姿が見えないという性質を利用し、諜報を主に行っている。 盗賊ギルドから、逃げることはできない。 奴隷として売られたナズナには「奴隷の刻限」という魔法がかけられているからだ。 「奴隷の刻限」とは、奴隷が主人を裏切った際に、殺すための魔法である。 ナズナが、今回ムスカリの屋敷に侵入したのは、諜報活動の一環だ。 ムスカリの父親に敵対する貴族からの依頼だった。 弱みやスキャンダルを見つける。 公明正大をもっとうにしている善良な貴族。 そのイメージさえ崩せれば、なんでもいい。 スキャンダルがなければ、作ればいい。 ナズナが、ムスカリに近づいたのは、元々、そのスキャンダルを作るためだった。 誤算は一つ。 ムスカリがナズナに笑いかけた。 ただ、それだけだった。
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