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高校生の男が二人手をつないで学祭を回っている。どう考えてもおかしい状況だ。しかもそのうちの一人はゲイで相手のことが恋愛的に好きなんだぜ?ぷるぷると手が震えたが、どうしてもその手を離すことは出来なかった。本当なら今すぐ手を振り切って赤い顔を隠したい。恥ずかしい、逃げたい。 欺く、とは何だろう。俺たちは友達で、それ以上でも以下でもない。そんな罪悪感にミシミシと心臓を握られながらも、ちょっとしたことで笑いあえるこの感じが懐かしかった。ここ最近の気まずい雰囲気がかつての仲に近づいたような気がする。そんなことを思えば思うほど、手の温かさを感じれば感じるほど、泣きたい気分になった。 人混みを抜けると、にっこりときらきらした笑顔でハルが振り返った。対して俺はひどいしかめっ面だ。 鼻歌でも歌いだしそうなハルはお祭り気分でいつもより気分が浮いているのが明らかだ。そんなハルはずいぶんと久しぶりに見た気がする。 流石に階段の踊り場まで来た時にはハルの手は離されていたが、今だに残る熱は汗ばむ手のひらが教えてくれた。 「こりゃ迷路だね」 目の前はバリケードのように積まれた机でいっぱいだ。げっそりとした顔でそれを眺めるハルを一瞥してまた視線を前に戻した。 「いける」 自分で言うのもなんだが、俺は割と細いほうだ。このくらいなら通れる。わずかな隙間をちょっと背伸びしたり腰をかがめたりしながら、ハルが通れそうなほどの隙間を開けて行った。 「お前は猫か」 関心した風…に見えるハルが若干あきれたようにつぶやいた。 「俺と瀬津ってたしか身長二センチも変わらないよな。なんでこう体格に差ができたんだろうな。俺そこ通れるかなぁ」 「誰がもやしだよ」 「誰も言ってねぇって」 すいすいと扉の前まで来た俺と違い、ハルは周りの机をがんがん言わせながらこっちに来る。机に行く手を邪魔されて途方に暮れそうなその顔を見ているとなんだか笑いがこみ上げてきた。思わず笑い始めた俺にハルがムッとした顔を向ける。なんだかそれすらもおかしかった。 「こっちは必死なんだぞ!?」 「見りゃ分かるって」 多分俺は懐かしかったのだと思う。このノリというのか、雰囲気が。すっかり受験モードに入った俺たちはどこかかみ合わない部分にやきもきしながら過ごすのが日常になっていた。今は久しぶりに気兼ねなく笑えている気がした。
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