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[3]EXPERIMENT
魔獣が現れるたびに魔法少女たちは思う。
ー魔獣は一体何であるのか いくつあるのか...
終わりのない戦いほど精神的に労費するものなどない。守られる方だって同じで、いつまで魔法少女たちの傷つく姿を見なければいけないのかと思うのだ。
「私は、魔獣が倒せることが誇りなの。私の今場所が無かった学校生活にも別れを告げられるし、今の自分が必要とされる環境に満足しているわ」
私にはそういうことを言わなかったはずの その女子は私の前ではそう言った。
現実の記憶と、過去のゲーム情報そして今。すべてが分かっている私にはこの現象は不思議でしかない。だって... いじめられていたはずの私が今では魔法少女たちの一員として仲間の輪に入っているのだから。
「ねぇ」
目の前の彼女に私は尋ねる。
「私は、嫌われているんじゃないの?」
ポカンと口を開けて意味が分からないといった様子の彼女は、知らないわよと言った。
「気にしすぎよ 凛...」
***
「わたし風邪ひいたかも」
「病院行った?」
「何それ」
街中のフードコートでの場面だ。大学生に見える女子二人がポテトを片手に話し込んでいる。 一人が、先ほどからつらそうに咳や鼻をすすっている。
「病院よ...ほら 不調を診てくれる場所だって」
「行ってこようかな」
ゲームの世界ではすでに1週間が過ぎた。現実世界でも同じくらい時間が進んでいるはずだ。相変わらず現実世界との通信はできないが、僕らには意識も記憶も残っている。
そんな疑問を抱きつつもスマートフォンを見ているとニュースの通知が来ていた。また、魔獣が現れたのだろうかと思って開くとそこには
「風邪が流行 大規模な症状で重症化も数件」
と書かれた記事がある。
今から数十年前まで、風邪といってニュースになることなどほとんどないし、スペースでの生活が概念となったここ20年は 病気というワードじたい過去の産物だった。
病院も老人介護や整形外科などがあっただけなので内科や外科といわれるものが再建するにはまだまだ時間がかかるとのことで、現実世界で起こったことを考えると恐ろしいとしか思えない。
***
ー政府は非常事態宣言を発令し、感染症対策チームとして25年ぶりに発足させました。
翌日の新聞の1面を飾る見出しに僕の割ではパニックになりつつあった。ゲームの世界で、魔法少女たちがメインのこの世界で僕ら以外のプレイヤーは魔法少女の存在自体気にもしていなかった。
ゲームが始まり、イレギュラーにも記憶が残っている僕だが相変わらずモニタ―の前に座り、魔法少女たちを管理している。ただ違うのは、精神矯正をする対象が少ないことだ。加えてそこに凪葉凛の名前はない。
「うまくやっているようだ」
数日前にあったときは、凛自身が魔法少女のメンバーとして受け入れられていると聞いたから安心という感情もある。
「葉波さん? どうしたんですか」
「なんだ四葉か 何でもないさ....いや 何にもないさ」
「言い直したわけ...」
***
「大統領 実験は順調です」
「そうか。多少の犠牲も必要だから気にすることはないぞ」
一人でも犠牲が出れば気が重たい大臣と結果重視の大統領。二人は、同じ結果を見ているというのに表情は全く異なった。
「まさかぁ 風邪でね4人も犠牲がでるとは思わなかったな」
「本来は犠牲なしというのが理想でして...」
「何か、私に意見するというのか!!」
キレる大統領に大臣はおびえている
「ち、違います。今後もー うまくー いけばなぁーって」
「わかればいいんだよ」
その様子を見ている私(秘書)は、この二人を見ていると不安でしかない。失敗ももみ消す大統領とNoといえない大臣。どっちも彼氏にはしたくないわ。
「...失礼します」
部屋を出ていった大臣の姿は来た時より小さく感じた。
「大統領 このあとスペースのトップと会談です」
「だれ?」
「Red Skyの...」
「あぁ 彼か! 話そうと思っていることはたくさーんあるんだ」
うれしそうにする大統領だが、私は予定表に書かれているメモを見る時点でいい話ではないのに...と思うばかりだった。
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