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染み
いっそズタズタに引き裂きたかった。
恨み辛み、悲しみ、怒り。
そんな負の感情で全てを壊し、君を傷つけたかった。そうすればきっと僕だって諦めがついただろう。
格好つけて、何が変わった?
最後に君を笑顔で送り出し、何が生まれた?
残されたのは虚無。
自分に嘘をついた自重めいた思いと、君を騙した罪悪感。2つのドロドロは真っ黒な感情を心に埋め、そして急速に空っぽになる。そんな毎日の繰り返し。
殺せ、殺してくれ。
過去も今も、自分にまつわる全てを殺してくれ。
なのに今も君は、笑うんだ。
「死なないで」と思い出の中で。
「消えるわけじゃない」と写真の中で。
だから僕は、あの時だって言えなかった。
もう会えない君に、終わりの審判を下せなかった。
だから僕は今も苦しんでいる。終わりの言葉を告げられなくて、空っぽに溺れている。
言えなかった言葉の「さようなら」
代わりに伝えた「ありがとう」
エンドマークを打ち損ねた僕は、永久機関の地獄を漂う。
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