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ドクターアンリだ! 僕たちより行列の前に並んでいたドクターアンリが、枯れ枝を燃やすために列を抜けて枯れ枝を投じる人の列に入ったのだ。
「ふみちゃん、僕たちの後ろにも大分行列が伸びたね」
と後ろ、つまりドクターアンリがいる場所とは真逆の方向を指差す。
「うん、そうだね」
素直なふみちゃんは体ごと後ろを向いて、僕の指の先を見た。
(よし!)
僕はふみちゃんの肩に手を乗せて、そのままの姿勢を保つようにしながら、話しかける。
「何人くらい並んでいるんだろうね?」
「え~、どのくらいかなあ。百人いると思う?」
ふみちゃんの質問に答えながら、肩越しに振り返ってアンリを見ると、法被を着たスタッフが新しく運んできた枝を手渡されているところだった。枝を火に放り込んだら行列にもどるはずだ。それまでふみちゃんの視線を逸らしておかなければ……。
(早く投げろ)と念を飛ばす。
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