第一光 1話

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第一光 1話

2020年3月28日 日本 ピピピピピ... 「...っせぇな...朝か」  午前10時、目を覚ました彼ー暁之瀬雄麻(あきのせゆうま)は、鳴り続ける目覚まし時計を止めると、掛け布団を勢いよく蹴り飛ばした。  そのままシャワールームへ直行し、夢見の悪かった昨夜の夢と一緒に汗を流す。 (クソッ、また嫌な夢を見た)  雄麻は心底イライラしていた。  なんとも気分の悪い朝だ。  シャワーから出て、体を拭く。  まだ少し肌寒い時期ではあるが、雄麻は気にしない。  タオルを腰に巻いたまま、キッチンで朝食の準備をし、朝食を持って、テレビを点けるが―― 『今相次ぐ資産家の不審死、警視庁は捜査本部を設置し、犯人の特定と――』 「ちっ」  一瞬で消し、リモコンを投げ捨てる。  最近は変なニュースが多い。 (…あの事件はなんだったんだ、俺が情報を集められないどころか、つついたらヤバいのが出てきたから、割に合わねぇなと思って降りたが――)  雄麻は何かを拭い捨てるように、自分のデスクへと向かった。  デスク上のパソコンには、何通かメールが届いていた。 (どっかおもしれぇ話でもないかね〜…)  それぞれのメールにさっと目を通し、目を通したメールからゴミ箱へ送る。 (儲け話だけすりゃいいと思いやがって)  さっと目を通しただけのメールが、ゴミ箱の容量を圧迫していく。  しかしどうやら、今日はそんな普段のとは違ったようだ。 「?」  一通だけ、差出人も見出しもなく、匿名の、暗号化されたものがある。  パソコン画面に表示されているその匿名のメールを、雄麻は恐れもせず開いた。 (あ?んだこれ。暗号になってんのか)  彼はその暗号を、いとも簡単に解いてしまった。  普通であれば開けもしないようなメールを、躊躇いもなく開き、高度な暗号を一瞬で解く。  一見して異常に見えるが、彼にとっては普通だった。  それに、ただ興味が湧いた。ただそれだけが理由だった。   『Dear Yuma Akinose We will solve your longstanding mystery. Come to the desinated place at 5p.m.. I hope you're not scared. See you soon. Than you want.』  意訳するとこうだ。 『親愛なる暁之瀬雄麻、長年のなぞを解きたいのなら、5時にこの場所に来い、ビビりでないことを祈るよ。  ではまた、あなたの求める者より。』  同封されていたファイルには、地図が載っている。  明らかに怪しい。  "普通"の人であれば近づきもしたくないところだ。  だが、彼は違った。  繰り返すようだが、彼は"普通"ではなかった。 「へぇ...おもしれぇ。のってやるよ。新しいウイルスとか変なニュースとか、ただのビジネスメールやらより5000倍は面白い。」  彼はそう言うと、ニヤリと口角を吊り上げて笑った。  
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