クモと生娘:始

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「まずは、アレを抜かなくてはな」  言うなり蜘蛛の身体は小さくなり、朱姫の足をつたい内腿の更に奥へと入り込んだ。  一瞬ピクリと反応した朱姫だったが、嫌がる素振りも声も無く、ただ虚ろな目で天井を見つめていた。  下から朱姫の姿を見つめながらも知生は、何とか身体に巻き付いた糸を外そうと藻掻いたり、辺りを見回して外せそうな物を探した。  その内に、蜘蛛は朱姫の下半身の間から再び姿を現して、巨大化すると、今度は口の辺りから粘液のようなものを糸の上に吐き出し、残った触肢でそれを吸い取っていった。 その様子を知生は不思議そうに見つめていたが、不意に目の端に鋏が映り、這いずりながらも急いでそれを取りに向かった。  あと少しで鋏に足が届きそうだという時に、朱姫に名前を呼ばれた気がして振り返った知生。 目に飛び込んできたのは、蜘蛛が再び朱姫に近付き、先程まで液体を吸い込んでいた触肢を朱姫の下半身へと近付けている姿だった。 「朱姫!!」 「これで娘は、ワタシの子を宿す」 「っ、この野郎、止めやがれっ!!」 シュッ ガスッ  足の指に鋏の持ち手を引っ掛け、蜘蛛に向かって投げ付けた。  鋏は蜘蛛の腹部に当たり、動きを止めた蜘蛛は知生の方へと向きを変え、疑問をぶつけた。 「貴様…、その姿でも邪魔立てするか。何故だ?」 「ふっ、俺は朱姫の保護者なんでな…。子作りしたいなら、俺に許可取れ!絶対、許可はおろさねえけどな」 「ほう…。なら、許可を取らずともよくすれば良いのだな」  知生の返答に小さく頷いて呟くと、蜘蛛は巣を伝い、知生へと近付いて行く。  蜘蛛の接近に嫌な予感がした知生は、何とか身動いで身体に巻き付いている糸を解こうとしたが、やはり糸はビクともしなかった。 諦めて睨み付けるだけになった知生と向かい合う形を取った蜘蛛は、その体勢のまま知生にのし掛かり、ゆっくりと顔を近付けた。 「このままお前を喰ってしまえば、許可は要らぬな」 「くっ…」 「では、頂こう…」 「っ、させるかよ!!」 ガスッ 「くそっ…」 「…それが最期の抵抗か…。やはり、喰うしかないな」  蜘蛛の下で何とか転がり、体勢を替えて足をぶつけた知生だったが、それ以外は特に蜘蛛への攻撃にはならなかった。  それを悟った知生は、突然ふっと身体から力を抜くと、大人しく目を瞑り覚悟を決めた。 「諦めたか…」 「ああ…。このまま生きて、朱姫がお前にヤられて身籠るのを見るくらいならな…」 「…そうか」  知生の言葉に呟くなり、蜘蛛は知生から離れて行った。  蜘蛛に食べられる事を覚悟していた知生だったが、蜘蛛が離れていく姿に疑問を感じ、声を掛ける。 「おい…」 「ふっ。元々は貴様を食う気など無かったからな」 「え…」 「貴様が諦めたと言うことは、娘との子作りを邪魔せんと言うことだろう?」 「な!?」 「ならば、このまま行為を行うだけ…」 「待ちやがれ!!」 シュッ 「…煩い」 「むぐぅ!!?」  再び騒ぎ出した知生の口を糸で塞ぎ、蜘蛛は朱姫の元へと向かった。 見る間に朱姫の側へと近付くと、まじまじとその姿を見つめる蜘蛛。  そんな蜘蛛に虚ろながらも顔を向けた朱姫は、一筋の涙を流した。 「恐れんでもよい。そこらの蜘蛛とは違い、ワタシには心がある。ワタシはお前を愛している。だから、ワタシの子をなしてくれ…」  言いながら朱姫の下半身へと頭を近付け、触肢をゆっくりとその真ん中の窪みへと押し付けた。  下半身への感覚に朱姫はピクリと反応し、視線を蜘蛛へと向ける。
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