三七日(みなのか)

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 あの時僕は――理由は忘れたけど――映画の後カフェで彼女と険悪な雰囲気になり、彼女がブーさんショップの前でわずかに目を輝かせたのに気づいていながら無視したのだ。 「そんなこともあったなー……」  なんで忘れてたんだろ。  たった1年前なのに、遠い昔のことみたいだ。  僕はもう彼女を心から好きになることはないけど、出来ることならもう一度。 「……あの鉄仮面が崩れるところ、見たいよね」  僕はペロリと舌舐りし、袖を捲る。  こんな悪人面でテディベアを品定めしてる人、そうそういないだろうな。  店員さんに怪しまれながら物色した結果、僕はひなまつり限定発売のぬいぐるみを購入予約し、家に帰った。
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