oh my God!

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あぁ、神様。 もし、本当に存在するのならば。 僕は、貴方に、最大級の、感謝を、捧げます。 〜 「あのっ、あのですね。」 目の前には、僕が恋焦がれてやまない女子。 窓からの夕陽の光は、彼女の姿を神秘的に魅せる。薄らと頬を赤く染めながら、彼女の視線は、僕の顔と教室の床の辺りを慌ただしくいきかっている。 いつだって、誰相手にだって、黒を黒、白を白、と忖度せずに言える彼女のこんな姿は、物凄く、レアだ。そんな姿を僕にだけ、僕に気持ちを伝えるためだけに見せてくれるなんて。あぁ、僕は、なんて、恵まれているだろう。 にやけそうな唇を意識的に結んで、僕は彼女の落ち着かない大きな黒目を見つめる。 「あのっ。」 彼女が、顔を上げた。潤んだ大きな黒目に見つめられて、心臓がドクン、と高鳴った。 あぁ、神様、心から感謝を捧げます。 こんな奇跡に出会えたのは、貴方のおかげです。クラスの男子たちや、目の前の彼女ではない同じクラスの女子の何人かが、今日、僕のことをチラチラと見る癖に、何故か目を合わさなかったのは、今、この瞬間を迎えるための、伏線だったんですよね。良い感じにいえば「一匹狼」、悪い風にいえば「ぼっち」な僕のことなんて、いつもは気にもしない癖に。 それとも、全て、彼女が仕組んだことなのですか。彼女が、同じクラスの女子たちに助言を求め、それ故にその女子たちも、僕の動向を気にしており、お喋りな女子たちのだれかがこのことを男子のだれかに話し、故に、男子たちも僕のことを、恐らく、羨望の目で見ていたのでしょうか。 どちらにしろ、神様、貴方には、感謝してもしきれません。彼女が、僕のことを恋しく想ってくれるなんて。それは、やはり、貴方が恵んでくださった、奇跡...。 「あの、今すぐ、お手洗いに行って、制服のズボンを見て下さい。...あの、では、さようならっ。」 ...え。 なんていう暇もなく、彼女は深々と礼をすると、やたらと綺麗なフォームで、颯爽と教室から走り去って行った。 ...お手洗い、って、なん...で。 何気なく下を見て、気付いた。 あぁ、そうか。 だから、同じクラスの女子たちは、同じクラスの男子たちは、チラチラと僕を見ていたのか。 そうだよな。高校生にもなって、ヘソの上まであって、おまけにゾウさんの柄なんて。なんて、恥ずかしい。仕方ないだろ。僕はお腹が弱くて、薄着である夏だろうが、毛糸のそれが、手放せないんだ。 物事をはっきり言う彼女だって、さすがにこれは、言えないよな。 あぁ、神様。 僕は貴方を恨みます。 他の誰だって指摘してくれなかった『それ』を、他でもない、優しすぎる彼女に、間接的にせよ、指摘させたことを。 ジィーー。 僕は下までしっかり下がっていたズボンのチャックを、そっと、上げた。
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