時間旅行の自己保存

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◆二〇三五年・一月十二日  鈍色の寒空の下に立つ墓標は雪の冠を被っていた。そこに刻まれているのは私と同じ名前だった。雪をはらい、持ってきた赤いオダマキの花をそっと供える。そうしてそっと静かに、瞑目した。殺してごめんなさい。本当にごめんなさい。私は私の身勝手故に、あなたに対して大きなあやまちを犯しました、と。届かない懺悔を頭に浮かべてからそっと目を開ける。次の場所へ行こう。赤いオダマキはタイムマシンの中にまだ何十本も残っていた。それがまだ供養できていない自分の”あやまち”の数だ。踵を返して雪を踏む。次に向かうのは『二〇三五年・一月十一日』だ。
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