2593人が本棚に入れています
本棚に追加
『お前のことが、好きだ』
写し出される湊人。それは俺が知る湊人ではなく、作り上げた湊人で。素人目からしても、湊人の演技は本当にすごいと思う。どんなタイプのキャラクターも自然と演じてしまうのだから。
湊人はまだ駆け出しだ。小さな役から始まり、脇役、そして主要メンバーの一人・・・・・・そして副主演。実は、まだ主演作品はない。それでも、どの役でも存在感を出し、懸命に演じている姿を端から見ていて、俺の好きになった人はなんて偉大な人なんだろうとーー。同時に、俺はなんて魅力もなにもないつまらない人間なのだろうと気づかされる。
「ふーー、ん、湊人・・・・・・湊人」
寂しさに耐えきれず、湊人の映像を流しながら、湊人の服を持ってきて匂いを嗅ぎながら自分を慰める。くちゅくちゅといやらしい音が聞こえてくるといたたまれず目を閉じた。
出発する前の晩の湊人を思い返しながら上下に動かしたり、先を引っ掻いたりしながら高めていく。もうすぐーーと言うところで、ピリリリリ、と電子音が響いた。
最初のコメントを投稿しよう!