俺とあいつのこと

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『ごめんって。いいよいいよ。男の子だもんね。・・・・・・寂しかったの?』  甘く優しい声。  ああ、湊人だ。テレビで見ていた作り物の湊人より、この湊人の方がずっとずっと好きだ。 『ごめんね、連絡できなくて。もうさ、大変で。やっぱすごいよ。俺、まだまだだなぁって痛感してる』 「撮影、大変なのか?」 『んー。俺の力不足って言うか、ちょっと、ミス連発しちゃって』  少し沈んだ声色。落ち込んでいるのか。こんな湊人は珍しい。こんなときに側にいてやれない。それが歯がゆい。俺にはできることなんてないけれど。それでも、少しでも助けてやりたいって思う。 『だから、ちょっと声聞きたくなって』 「うん。応援してる。湊人ならきっと大丈夫だ」  気休めなことしか言えない。  俺に何ができる。湊人のためになることって、なんだ。
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