番外編

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 二人が気になっている、俳優桐谷湊人の恋人が、目の前にいるともつゆ知らず。というか、勝手にイケメンだと決めつけられたら言うに言えないじゃないか。  家族には、俺がゲイであることも男と付き合っている、ましてやそれが湊人であることはもちろん話していない。俺が実家に帰ることはあっても、家族がこっちに来ることはなかったし、湊人の仕事の事もあったから、ゲイだという事は告げても、相手が誰かまでは言うつもりはなかった。  でも、湊人がカミングアウトをしたこともあり、いつまでも家族に隠すのもと、そろそろ相手の事はともかく、ゲイで男と付き合っているのだという事は伝えようかと思っていた。相手については、湊人に確認を取ってからと思ってたんだけど。  湊人がいない時でよかった。 「卒業アルバムとかないの?」 「実家に置いてきたって」 「えー! 早くいってよ! こっちにあると思ってたじゃん」  妹の加奈子も母も、湊人のファンだ。加奈子は俺と歳が離れているせいで、湊人が高校に通っていた時に自分も高校時代を過ごせなかったことを今でも文句を垂れている。仕方ないことだっていうのに。 「ていうか、お兄ちゃんはどうなの? こんないい部屋に一人で住んでるわけ? 宝くじに当たったんだっけ? そこで運使い果たしたんじゃないの?」
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