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「えっ! ちょっと、言ってよ。普通にはしゃいで帰ってきちゃったじゃん。恥ずかしいな!」
「ごめん。俺も知らなかったんだ。急に訪ねてきて」
固まっている二人はとりあえず置いておいて湊人に状況を説明する。今更ながらぴしゃっと外ゆきの湊人の顔になる。
「初めまして、お母さん、加奈子ちゃん。桐谷湊人です。辰志君にはとてもお世話になっております」
「み、み、湊人―――!?」
礼儀正しく湊が挨拶すると、ようやく動き出した加奈子が失礼にも指をさしながら叫んだ。
「え、え、なんで、なんで、お兄ちゃんの部屋に湊人がいるの?」
「でも、同級生だものね。今でも仲よくしてくれていたのね。私、そんなこと聞いていなかったから」
混乱中の二人に、どう話せばいいのか。
「あの、僕、辰志君とお付き合いさせていただいています。僕には、本当に辰志君が必要なんです。辰志君がいるから今の仕事も頑張れてます。どうか、僕と辰志君の事を認めてください」
「み、湊人・・・・・・」
「えっ、お付き合いって。湊人の恋人がお兄ちゃんってこと? うっそだ! お兄ちゃん、さっきそんな事言ってくれなかったじゃん!」
「それに、貴方彼女ができたって」
湊人の言葉に感動している場合じゃない。俺もちゃんとしないと。曖昧にした俺が悪いんだから。ちゃんと、自分で誤解を解かないと。
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