俺とあいつのこと

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「んっ、はっ、ーーたっちゃ、ん」  貪るようなキス。隙間なく合わせた唇の隙間から溢れ出した唾液が伝う。ヘラヘラふにゃふにゃ笑ういつもの湊人を思えば、こういうときの湊人は別人だ。自分からも快楽を求めるように舌を伸ばし、俺のと絡ませ合いながら溢れた唾液を飲み下す。  名残惜しく離れた唇から銀の糸が伸びてフツンと切れた。  湊人の瞳に浮かぶ情熱の色。我慢できないというように俺の頬を両手で掴んで再び唇を合わせ、押し倒した。 「ん、ぁ、湊人ーー、みな」  貪り尽くすようなキスの狭間に、Tシャツが捲し上げられる。右手を抜かれ、左手も抜かれ、最後にようやく唇を離して頭から抜き去ったシャツをベッドの下に放られる。そこからキスは、身体中に移動した。  ちゅ、ちゅ、と音を立て吸うようにして首筋、鎖骨、胸、腹、あちこちを愛しげにキスを繰り返していく。もどかしく進めたくて、自分で手をそこに持っていこうとする。 「ダァメ。今日は全部俺に任せて」 「えっ、や、ぜ、んぶって。い、いいっ。お、俺がする! それに、もう風呂場で準備してきたから。だから、すぐ入ると、思う」 「・・・・・・またぁ? もう、俺がしたいっていっつも言ってるのに」  不貞腐れたように唇を尖らせる湊人に、申し訳ないと思いながら、それだけは絶対に嫌だと思う。
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