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華煌は二人に、この陰態での薬皇院の株式会社の仕組みとそれに至る経緯を簡単に説明した。
ようするに、人間の猿まねかと相変わらず反抗的に呟く番長に、言い得て妙だと華煌が腹を抱えて笑った。
猿に猿まねと言われて、ツボにはまったらしい。
「おまえ、いい加減にしとけよ。」
大将が若い番長の頭をぽかりと叩いた。
これが陽態の猿の姿ならば、威嚇していたか噛みついていたか。
「旦那もあんまり甘やかさんでくれ。」
「いや、だって、君らに猿まねと言われるとは・・・っ、まあ、そうなんだけれどね。さて、それで俺はその中で福利厚生部長になったんだけれど、仕事の内容が天狗たちの健康管理、薬草園や温泉経営、さらにサル園の経営管理というのがあるんだよ。」
大天狗八人衆としてあの場で飯綱大権現に説明したとき、華煌は確かに福利厚生部の仕事の中にサル園を組み込んでいた。
この陰態に猿が存在しないにも関わらず。
それに対して飯綱大権現も他の大天狗たちもツッコまなかったのは、初めての株式会社というものに理解がついていかなかったからか、福利厚生部自体を下に見ていて興味を抱かなかったか、それとも気付いていて何も言わずどうなるのか監視していようと思ったか。
少なくとも飯綱大権現様はお気づきになられていて面白がって見守っておられるんだろうなあと、華煌は推測している。
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