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これまで親しかった大将からの否定にも、華煌はにこにこと微笑んでいた。
逆に、大将の眉間に皺が寄る。
「俺ら猿には神通力なんざないから、旦那ら天狗様がたのやりようでどうにでもさせられるだろうがよ。てことは、こっちの世界で旦那らの気に沿わないことを言っただけで何をされるかわからんってことだ。俺はボスとして群れのやつらをそんな危険にさらすことは出来んな。」
華煌が、群れの他の猿たちも、陰態に引き入れようとしているならば。
力の差が歴然としている自分たちが、不利な状況に置かれるのであれば。
ボスである大将はそれを容認することは出来なかった。
気さくに接していた大将が、自分の意図の一部を聞いただけでこれだけ拒絶する態度を示している。
その様子に、華煌は凹むでもなく、反対にわくわくした顔になった。
「さすが大将!群れのボスはそうでなくちゃ!てことで、ぼけっとしている君たちは今しばらくボスの後釜にはなれないなあ。大将、かっこいい!」
華煌に指摘され、それまで華煌の話にあっけにとられていた参謀と番長がはっとなる。
ぼけっとしていたのではなく、華煌の話があまりに突飛で理解出来ていなかったのだ。
世代交代はなしだと言われて、番長がかっとなった。
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