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このところ、広報外商部の阿南子の機嫌がいい。
新たな仕組みを喧伝した結果、他のお山から来訪客が訪れるようになり、窓口である自身は非常に多忙になったにもかかわらずご機嫌だ。
その理由は、華煌が申請し飯綱大権現が名称コンテストなるものを考案したことによる。
お休み処の名称に、阿南子の部署の大天狗が考えた名が選ばれたのだ。
薬湯温泉が開設された時期は、他のお山巡りに出かけていて、自分だけ入れなかったと随分お冠だった。
このサル園をお休み処にする案もあまり賛成ではなかったが、飯綱大権現の命とあらばと従い、その結果自分の部署の名がお休み処の看板に名称とともに刻まれることになったのである。
「飯綱大権現様のお決めになられたことに間違いはない。」
建設された平屋建てのお休み処。
その広い間口を持つ入口の上に、「お休み処 霞」の大きな看板が取り付けれた。
その看板の右下に、やや小さな字ではあったが「考案:株式会社高尾山薬皇院広報外商部」も刻まれたのである。
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