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参謀と番長は、平屋とはいえかなり広く奥行きもある建物に呆然と立ち尽くした。
大将は、「むむ・・・」と呻り、こめかみを人差し指の関節でごりごりと押した。
「華煌の旦那。これじゃあ、サル園じゃないだろうよ。立派すぎる。」
「いいんだよ。サル園の名称がお休み処霞になっただけなんだから。裏側に広めの庭園スペースも作ってちょっとした岩山も置いてみたから、それがあるってことでサル園。うん、それでいい。」
「他の大天狗様方から恨まれてないのかい、旦那。」
「全然。何しろ飯綱大権現様のお墨付き。しかも、霞という名を考えてくださったのは、阿南子様が頭となっておられる広報外商部。阿南子様に逆らうような大天狗は早々いないんだよ。」
外見は童に化身しているが、阿南子はまぎれもなく大天狗八人衆の最古参の一人で、その神通力の高さと質においても他の大天狗たちに一目置かれる存在であり、侮られる点は一つもなかった。
「華煌。彼らがおまえの呼びつけた猿か。」
華煌と大将らが話していると、ちょうどその阿南子がやってきた。
大将らサルたちは、さっと華煌の背後に回り、深々と頭を下げた。
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