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姿形だけでなく、声色も童ならではの高く歯切れのいいものだった。
阿南子が背を向けて去って行くと、参謀と番長から安堵の溜め息が漏れた。
「外見に合わず、纏われておられる神気の強い御方ですねえ。」
参謀は阿南子の実力を肌身に感じたらしい。
さすが大将の右腕である。
「強そうな奴だがよ、まだあんな子供で天狗の仕事なんかこなせるのか。」
反対に、その外見に騙されたのは番長だ。
華煌は「いやいや」と手を振る。
「阿南子様は俺よりずっと昔より大権現様にお仕えしている非常に高位の御方で、あの外見はわざとだから。番長のようにころりと騙されて無礼な態度をとる輩には、物事の本質を見ない大たわけ者として厳しく当たるから気をつけてくれよ。」
げっと短く叫ぶ番長の後頭部を、横の参謀がすぱんと叩いた。
「にしても来客ねえ。まあ、そろそろ順に訪れる頃だとは思っていたからいいけれど。」
華煌はにんまり笑うと、話題を変えて大将たち三人をお休み処の中に招き入れて案内した。
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