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「苦手なものだと?なんだ、教えろ!」
「己の弱点を言いふらす馬鹿がどこにいる。おまえじゃあるまいし。」
「何だと?俺に弱点などあるものか!」
「はっはっは。己の弱き部分を認め、見つめ直し、向き合うことこそ真の修行ではないのか。慧讃羅様に伺ってみろ。」
「む、むむむ。」
言い込められた吉津太郎は呻り、華煌はからからと笑った。
二人が飯綱大権現のおわす奥の間に入ると、まだ半数ほどしか集まっていなかった。
企画部の峻妙と総務部の慧讃羅の姿がなかった。
一段高くなっている御簾の中には、既に大権現の気配があった。
御簾のすぐ下に控えているのは、阿南子と法羅光坊。
その横に智多勝、計俊坊が背筋を伸ばして無言で座っている。
華煌と吉津太郎は、彼らと間を空けて末席に腰を下ろした。
二人は、八人衆の中でも新参者なのだ。
その割に華煌の態度が大きく、それを大権現が窘めないことで、時折衝突が起きるのだが。
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