其の四 管狐(くだぎつね)騒動

9/75

4911人が本棚に入れています
本棚に追加
/384ページ
「苦手なものだと?なんだ、教えろ!」 「己の弱点を言いふらす馬鹿がどこにいる。おまえじゃあるまいし。」 「何だと?俺に弱点などあるものか!」 「はっはっは。己の弱き部分を認め、見つめ直し、向き合うことこそ真の修行ではないのか。慧讃羅様に伺ってみろ。」 「む、むむむ。」 言い込められた吉津太郎は呻り、華煌はからからと笑った。 二人が飯綱大権現のおわす奥の間に入ると、まだ半数ほどしか集まっていなかった。 企画部の峻妙と総務部の慧讃羅の姿がなかった。 一段高くなっている御簾の中には、既に大権現の気配があった。 御簾のすぐ下に控えているのは、阿南子と法羅光坊。 その横に智多勝、計俊坊が背筋を伸ばして無言で座っている。 華煌と吉津太郎は、彼らと間を空けて末席に腰を下ろした。 二人は、八人衆の中でも新参者なのだ。 その割に華煌の態度が大きく、それを大権現が窘めないことで、時折衝突が起きるのだが。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4911人が本棚に入れています
本棚に追加