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「申し訳ない!企画部の会議が白熱して、つい。」
非常に明るい声で謝罪しながら、峻妙が入ってきた。
「企画部の会議より大権現様の思し召しが優先されてしかるべきではないか、峻妙。」
智多勝がちくりと責めるも、峻妙は「まったくまったく。お詫び申し上げる。」と言葉とは裏腹に反省の色なく計俊坊の隣に座った。
それからほどなくして慧讃羅が入室した。
こちらの謝罪も、滝行を行っていたため知らせを聞くのが遅れ、濡れたままでは失礼かと着替えてきたので、というものだっが。
修験道とも密接なかかわりのある天狗にとって、修行は疎かに出来るものではない。
だが、慧讃羅の修行熱は誰よりも高く厳しい。
そこに心酔しているのが吉津太郎で、他の天狗たちはむしろやりすぎではと思っているきらいがある。
「皆揃ったな。急の呼び出し、すまないね。」
御簾の中から大権現が語りかけ、大天狗たちは皆一様に額を畳につけんばかりに深く頭を下げた。
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