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「本日は、阿南子より皆に伝達すべき事柄がある。」
「はい。」
名を呼ばれ、阿南子が他の7人と向き合う。
華煌たちも頭を上げて、阿南子の方を向いた。
「私の仕事は、広報外商部である。先日来より大権現様からの任を受け、他のお山に出向き、この高尾山薬皇院の新しき組織作りについてご説明する栄誉を賜った。」
それが広報外商部の部長たる阿南子の仕事なのだが、あくまでも「代表取締役社長」である飯綱大権現から「広報外商部部長」である阿南子に出張命令が下った、そういうことになっている。
それが会社の仕組みだ。
大権現の命で、阿南子は様々なお山を回って、株式会社の話をしてきたのだという。
むろん、大権現の名代という役もあったので、ご機嫌伺いも兼ねてであったが。
「中には非常に興味をお示しくだされた御方もおいでになられてな。こたび、信州戸隠山より10名の大天狗がお見えになる。」
阿南子の言葉に、他の大天狗たちの表情に変化が見られた。
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