其の四 管狐(くだぎつね)騒動

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近しいどころではない。 陽態、つまり人間の世界における戸隠山は、北信五岳の一つだ。 そこに飯縄山も含まれ、しかも戸隠山と飯縄山は直線距離にして10kmほどの距離。 戸隠山もまた霊山であり、修験の地でもある。 その中腹にある戸隠神社の主祭神は飯綱大権現ではないが、陰態においてはやはり天狗たちの集うお山の一つなのだった。 その戸隠から天狗たちが来る、この薬皇院の株式会社の仕組みを見学に。 天狗はおれど、飯綱大権現とあまり縁のないお山からの来訪者であれば、大天狗たちももう少し気が楽だったかもしれない。 だが、今回は戸隠だ。 華煌たち大天狗らの仕事に不備があれば、大権現のお生まれになられた飯縄山に失態が伝わりかねない。 まさに、飯綱大権現の顔に泥を塗る、恥をかかせかねないということなのだ。
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