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「あまり緊張せずともよい。日頃よりおまえたちはよく働いているではないか。」
大天狗たちの緊張を感じ取ってか、御簾の向こうの大権現の声は、いつになく明るい。
「何も気負うことなどない。普段通りにせよ。阿南子。」
「はい。」
「客人の接待はおまえと広報外商部に任せる。滞在中の予定を組むように。」
「承知いたしました。」
「皆も、阿南子に協力するように。いいね?」
むろん、大天狗たちに異はない。
皆、ははあと身を折り、恭順の姿勢を見せた。
あとは任せたと大権現の気配が去り、秘書として付き従っている制多迦童子と矜羯羅童子もいなくなると、大天狗たちは、肩の力を抜いた。
足まで崩しているのは、華煌と慧讃羅くらいだったが。
「阿南子。あなた、どのようなことを戸隠のお山でお話してきたのですか。」
智多勝が阿南子に問う。
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