4902人が本棚に入れています
本棚に追加
華煌と大将たちは、お休み処の中に入った。
オープンはしているものの、まだ天狗たちは誰も来ていない。
大天狗たちは猿と共に過ごしてなるものかというプライドから、烏天狗たちはそんな大天狗たちに遠慮をして。
「悪いなあ、俺たち猿が使うってんで、旦那らが遠慮しちまってんだから。」
「なんのなんの。ここはサル園なんだから、君らが自由に使うのが第一。天狗はおまけだと思えばいいよ。福利厚生部の天狗たちにはそういう風に指導しているから、君たちに不快な思いはさせないと思う。」
広い間口の入り口の暖簾を潜ると、正面に受け付けカウンターがあった。
そこには二人の烏天狗が立っていて、華煌たちに「いらっしゃいませ」と挨拶をした。
大将たちは、びっくりして目を丸くする。
「よ、よろしいんですか、華煌様。我ら猿に挨拶など。」
「もちろん。ここで働く天狗たちは、従業員兼管理人だ。単なる従業員ではないから覚えておくといい。」
ほらと華煌が指さすところ、受付の背後の壁に掲げられた額の中には、このお休み処建設の理念と利用心得が書かれてあった。
最初のコメントを投稿しよう!