其の四 管狐(くだぎつね)騒動

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華煌と大将たちは、お休み処の中に入った。 オープンはしているものの、まだ天狗たちは誰も来ていない。 大天狗たちは猿と共に過ごしてなるものかというプライドから、烏天狗たちはそんな大天狗たちに遠慮をして。 「悪いなあ、俺たち猿が使うってんで、旦那らが遠慮しちまってんだから。」 「なんのなんの。ここはサル園なんだから、君らが自由に使うのが第一。天狗はおまけだと思えばいいよ。福利厚生部の天狗たちにはそういう風に指導しているから、君たちに不快な思いはさせないと思う。」 広い間口の入り口の暖簾を潜ると、正面に受け付けカウンターがあった。 そこには二人の烏天狗が立っていて、華煌たちに「いらっしゃいませ」と挨拶をした。 大将たちは、びっくりして目を丸くする。 「よ、よろしいんですか、華煌様。我ら猿に挨拶など。」 「もちろん。ここで働く天狗たちは、従業員兼管理人だ。単なる従業員ではないから覚えておくといい。」 ほらと華煌が指さすところ、受付の背後の壁に掲げられた額の中には、このお休み処建設の理念と利用心得が書かれてあった。
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