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高尾山の結界を解き彼らを招き入れた場所に大天狗八人衆が揃って並び、客人を出迎えている真っ最中なのだ。
「遠きところ、はるばるお越しいただき恐縮にございます。」
阿南子が、童の姿で一見可愛らしい顔(かんばせ)を伏せ、歓迎の言葉を述べる。
10名の中でも最も背が高く肩幅の広い男が、戸隠山の大天狗の代表として前に出る。
「こたびの我らの来訪を快くお許し下されたこと、感謝申し上げる。」
「なんの。先だっては私がお訪ねいた折に、十分な歓待をしていただき、こちらこそ感謝の極みにございます。」
阿南子の言葉に、代表の大男が深くお辞儀をした。
どうやらこの男は戸隠の大天狗の中でもかなりの実力者であり、阿南子の外見に惑わされず本質が見えるのだろう。
名を「晃頼坊(こうらいぼう)」と名乗った。
まずは飯綱大権現様にご挨拶をと、阿南子が先導し、戸隠の大天狗10名が移動する。
その後ろを、華煌たち7名が付いていく形になった。
薬皇院までの道筋、戸隠の大天狗たちは油断なく周囲に視線を走らせていた。
そして、企画部が運営している茶店や福利厚生部が管理している薬湯温泉の湯気を見て、目を大きく見開いた。
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