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「それよりも大丈夫なのか。学校の方は」
「坂本さんには、明日からまた出席すると連絡しているよ」
白めの黄土色に調色していた私の肌が指の先から変色を始めていることに気が付いた。指の第一関節あたりまでに、紺色のグラデーションがうっすらと。細々とした亀裂を伴いながら。中間色にあたる青みのかかった鼠色に、前に坂本さんと見た映像にあった壊死した人間の肌を思い出した。
体調不良によるものではないと直感で理解した。むしろ、この体調不良をきたしている原因であるとさえ考えられる。
私の身体が地球の環境に毒され始めているのだ。一年間はだましだましで人間を営んでいけたが、想定していたよりも早く私の身体の適応力は限界を迎え始めている。
明日からは手袋を装着しよう。
「お前の言う坂本さんとやらのことだ。心配して家にまで来るのではないのか」
「来ないよ」
「なぜそう言い切れる」
「私のこと、エスパーだって坂本さんは言っていたから」
「客観的な事実じゃないだろう」
「思い出した。ちょっと聞いてよ。私、背中に目があるじゃない。そのせいで苦労しているのよ」
「お前にとっては当たり前の機能も、エスパー扱いされているということなのか」
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