アケビを食べた

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アケビを食べた

ある秋も深まり、そろそろ肌寒くなってきた日、おとうが山から謎の実1つ採ってきた。 おとうが言うには、アケビって言うらしいが、明らかに色がおかしい。 Foofle(検索アプリ)を使って調べてみると薄紫色の果実っぽいのが出てきた。10cmぐらいの果実が中央から縦にぱっくり割れており、中に白い芋虫みたいなものがある。食べられるらしくて、芋虫みたいな白い部分は甘く、皮の部分は肉詰めにして食べると美味しいらしい。 だが、おとうが持ってきたアケビは明らかに違う。だって、金色でピカピカ光ってるんだもん。 サイズは、アプリに書いてあるぐらいだが、存在感が違う。一般人Bを自称しているくらい目立たないから、圧倒的な存在感を目の前にして、場違い感がハンパじゃない。 おとうは、「これ、山の中で見つけたんだけど、美味しいから食べてみて」と言っていたが、流石に無理! いやだって、金色だよ。アケビからオーラが溢れでちゃってるんだよ。ラスボス感すごすぎるわ。普通の薄紫の色はどこにいっちゃたの。外国の遺伝子入ちゃった?アケビに外国の遺伝子あるか知らんけど! ………ん?これ中の白い部分はどうなってんだ?中央から筋はでてるけど…。 割ってみるか…。 ピッカーン オーウ、ヒカリカガヤイテルネ。 もう、なんも言えねーぐらいとにかくすごい。中にいる芋虫まで黄金に輝いているとは。見てると目がチカチカしてくる。 全てが黄金に輝くアケビ。これは、もしかして新種なのではないだろうか。だって、こんなに目立っているなら俺でも知っているはず。ぜーったい、新種だと思う。…………………たぶん。 ていうか、宇宙から来た新種のアケビって言われた方が納得する。この説当たってそうで怖いんだが…。 うん、これ以上深く考えるのをやめよ。 しかし、どうするか。食べてみる? うーん、それはなー。未知の食べ物だからなー。でも、ネットの評判だと美味しいって書いてあるんだよな。 えいっ!男は度胸だ。一口ぐらいいってみようじゃねーか。やばかったらすぐ、吐き出せばいいんだ!よーし!黄金に輝く芋虫を少しすくって、………ん?芋虫の中から? ピッカーン くそ!油断した。まさか、芋虫の中にも光輝く種が出てくるなんて、びっくりする。でもこれで、流石に大丈夫だろう。 いっただきまーす! えっ。美味しい。びっくりするくらい美味しいんですけど。ま、まじでやばい。口にいれた瞬間、ふわっととけていって、上品な甘さと何とも形容しがたい風味が口いっぱいに広がる。まるで、見える景色一面に広がるバラのお花畑みたい。 すみません。ちょっと一般人Bがつけ上がりました。 でも、これは本当に美味しいぞ。食レポが上手な人が食べてたら、3時間は語れるレベル。盛ってないよ。まじで。 俺だったら、市場に売り出された場合、1億円でも買うし、デスロワイヤル形式の闘技場で優勝の景品ならば、命がけで取りにいくくらいだ。つまり、命かけてもいいくらい。 これが、約0.8個。やばい、これは黙秘しなくては。戦争(家庭内で)の原因になりかねん。 家族には捨ててしまったと嘘をついて、あとは大事にいただこう。バレないはず…。 おとう、ありがとう。おとうから貰ったアケビは大切にするよ。だから、おとうも安心して。おとうと約束した約束、必ず叶えるから!(おとうは、元気です。そんな約束はしていません) おとうに感謝の言葉も言ったし、今日はもう寝るか! おやすみなさい、アケビ。よい夢を! ピッカーン 電気消しても、光ってる。寝れねー。
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