始まりと終わりの箱

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思うように会話が弾まないことも、趣味や好みが何一つ合わないことも、二人の関係に求めるものが著しく違うことさえも、何も妨げにはならないくらいに彼を好きだったんだと、私は初めて実感した。 《そういうわけで僕のところにある島本さんの連絡先は全部消去して、もう自分からは連絡できない状況になった。だからもしまた会いたいとか、やり直せるかもって思ったら連絡くれたら…》 どうして分からないのだろう。 ぎゅっと目をつぶると、またぽとりと涙が落ちた。 私に連絡する術を全て放棄したということは、私を自分の手の届かないところまで遠ざけたということなのに。 そんなところに追いやられて、私からどうして連絡なんてできるだろう。 本当に、何も分かってない。 結局全てを私に託したつもりで、彼は彼にできる全ての方法で私を遠ざけただけ。
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