始まりと終わりの箱

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私は天井を仰ぎ、あの日の彼の言葉を反芻した。 『こういう別れ方って、正直あまりに自分勝手で無責任だと思う。……それでも、戻ってくる可能性があるならずっと待ってるから。その間、誰かを好きになったり、付き合ったりすればいいし。戻って来なくてもいいし。……でも僕は待ってる。他の誰かに、人生懸けるつもりはないから』 胸の奥が痛かった。 彼のその言葉を聞いたとき、私は思ったのだ──彼こそが私の居場所だと、帰るべき場所だと。 理屈とか道理とか、そういうの全部抜きにして思ったのだ。 待ってくれているからこそ帰れると思ったのかもしれない。 けれどそれ以上に、どんなに辛くても私の気持ちは彼のもとにあったということなのだと思う。 だから余計に、胸が痛い。
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