始まりと終わりの箱

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ひとつひとつ手に取るたびにいろんなことが思い出されてきた。 楽しかったことも、嬉しかったことも、悲しかったことも、苦しかったことも。 それを今ここで全部説明したりはしないけれど。 一通り確認して、一通り泣いて。 最後の最後に、私は見覚えのない封筒を手に取った。 これが何なのかは最初からわかっていた。 この荷物にに添えられた、彼からの手紙──…。 糊付けされていない口を開いて便箋を取り出す。 不思議と手は震えなかった。
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