始まりと終わりの箱

6/22
前へ
/29ページ
次へ
《島本さんへ 別れることになってからしばらく経つけど、元気かな。もう僕のことは忘れてふっ切れて、楽しく過ごしてるのかな》 呟きなのか問いかけなのか、手紙はそんなふうに始まっていた。 苗字に「さん」付けの他人行儀な呼びかけに始まり、「もう忘れて」? 「ふっ切れて」? 思わず息が止まる。 本当に、本当に何も分かってない。 悲しみとも怒りともつかない感情が私の中に激しく渦巻いた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加