始まりと終わりの箱

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《僕は、僕を好きじゃなくなったわけでも、他に好きな人ができたわけでもないなら、別れる理由にはならないと思う。だから島本さんの説明には、正直今でも納得できてない》 胸がずきんと痛んだ。 私は私なりに、言葉を尽くして説明した。 彼のことは今でも大好きだと。 でもその好きな気持ちよりも、一緒にいて感じる辛い気持ちの方が大きくなってしまったのだと。 それが私の一番正直な気持ちだったから。 けれどどうしても、どう頑張っても、彼には伝わらなかった。 他に好きな人ができたわけでもない。 彼のことが好きでなくなったわけでもない。 ただどうしても辛かった。 彼女として彼のそばにいることに堪えられなかった。
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