いつかおとぎの国みたいに

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いつかおとぎの国みたいに

 くらいくらい部屋(へや)のすみっこで、わたしはひそかに、(いき)をすう。もう何年(なんねん)(まえ)から、くらやみに支配(しはい)されたこの(ちい)さな世界(せかい)で、わたしは必死(ひっし)にもがいていた。  その漆黒(しっこく)につつまれた部屋(へや)(はい)ってみれば、その(おく)にガラスでできた(みず)がめが()かれているのに、あなたは()づくでしょう。わたしは(なが)(あいだ)その(みず)がめのガラスにはりついて、ガラスのむこう(がわ)をじっと、みつめていたんだ。
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