捕われの身

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捕われの身

 わたしは必死(ひっし)に、この場所(ばしょ)からの脱出(だっしゅつ)(こころ)みていた。けれどもわたし自身(じしん)(ちから)だけでは、ここから()ることは不可能(ふかのう)だった。わたしは(とら)われの()同然(どうぜん)状態(じょうたい)なのだ。  ある()、がれきの(おく)から物音(ものおと)()こえた。わたしはとっさに(おと)のするほうを()た。  人間(にんげん)だ。あの実験(じっけん)(おこな)われてからというもの、ここで(ひと)姿(すがた)など()かけることはなかったが、あれ以来(いらい)はじめてだれかの姿(すがた)発見(はっけん)することができた。
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