第一章 存在証明ー1ー

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第一章 存在証明ー1ー

「おっかえりー!友(とも)くーん!」  事務所の扉を開けたわたしを待っていたのは、黄色い歓迎でした。 「いやあ、お手柄だったじゃないか! 上司の僕も鼻が高いよ!」  まるで誕生日のサプライズとばかりに待ち構えていたのは、この九頭竜探偵事務所の所長です。名を、九頭竜織也(くずりゅうおりや)と申します。  年齢は、28歳。社会人らしからぬ無造作に伸びた頭髪は、必ず後頭部に寝癖が残っています。朝が弱いようで、かといって夜も遅くまで起きている事が苦手な社会不適合っぷり。  いい事があった時は、無駄にテンションが高く。悪いことが起きた時は、必要以上に落ち込む性格をしています。よく言えば、感情表現が素直で豊かな人物。悪く言えば、子どものような方でした。
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