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第1章 きっとわたしだけ…。
皆彼女のことをこう呼んでいる。「うきちゃん」と、名前が「浮季」(うき)というのもあるのだが、それ以前に彼女は実際にクラスで浮いている存在であったからだ。
なにをするにしても一人になることや、独りで行動していることが多かった。
体育の授業がある日特に浮季は嫌いだった。必ず組み体操をするとき独りになるからだ。そんな時声をかけてくれた子がいた。大体は副担任でもある女性の村井先生とやることが多いのだけれど、今日は違っていた。
「小日向さんよかったらわたしと組まない?」
そう声をかけてくれたのは隣の席の女の子だった。
「えっいいの?」と浮季は言った。
「うん。わたしも組む相手見つけられなくてね。」
「そうなんだ」
わたしは、それを聞いて少し嬉しくなり頬がゆるくなり笑みがこぼれそうになったが、その子に失礼だと思いグッと堪えた。
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