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「ライアネットー様。失礼ながら、パールミルアには、新しい婚約者の選定をしていますので、近付かないで頂けますか。パールミルアを正妻にして、ナルミネア嬢を愛妾にする話は、正式に手紙で有り得ない、と公爵様から否定して頂いています。もう決定した事ですので、二度と娘には構わないで下さい」
お父様……! ありがとうございます!
「な、父上が否定している、だと? いや、だが俺は公爵家長男。跡取りだ。父上がそんな否定をするわけがない!」
私は、呆れ果てました。この方は、本当に何を言ってらっしゃるのか。こんなに残念な方だとは思いませんでした。悉く私の恋心は砕け散って正解だったかもしれません。婚約破棄をされて、こんなに嬉しいと思ったのは、初めての事です。
「何故、あなた様はご自分が特別だと思えてますの?」
私は心底不思議で尋ねました。
「何故って俺は公爵家長男で跡取りで、俺を愛してくれている女がいて」
要するにライアネットー様は、甘やかされて育ってしまったわけです。まぁ公爵家跡取りの教育は優秀だった事はまだマシだったかもしれませんが……。
「確かにライアネットー様は公爵家長男で跡取りでございますが、だからといって、なんでもかんでも思い通りにはいきませんわ。特に人の心は」
私の指摘に、ライアネットー様が不服そうな顔をされます。更に言い募ろうとしたライアネットー様。ですが、そこへ重々しい声が聞こえて来ました。
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