婚約破棄です

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 「これ以上、恥ずかしい真似は止めたまえ。ライアネットー、君は、私の夜会に泥を塗った上に、未だ喚いて、私の顔を潰す気かね? 国王陛下に申し上げて、君を廃嫡にしても良いんだよ」  そう。国王陛下主催では無いけれど、かなり大きな夜会というのはつまり、大物の方が主催という事で。……主催者は、宰相様。ライアネットー様、よりによって宰相様主催の夜会で、この騒ぎなのです。こんな騒ぎを起こしては、宰相様がお怒りになるのも当然なわけです。  騒いでいるのはライアネットー様ですが、そもそも騒いでいる者が居る事自体、主催者の面子を潰しているわけです。そして主催者がそういった痴れ者を放置していればいる程、主催者の手腕も疑われてしまいます。  この程度の事態も捌けないのか、と。だから、何かあれば即刻対応しなくてはいけませんが、普通は招待されている方の最低限の礼儀で、騒ぎを起こす事なんて有り得ません。例えお酒を飲み過ぎても、騒ぐ事は許されない。  貴族として当たり前なのです。  ましてや、私とライアネットー様は、既に社交界で噂が浸透している状況ですので、恥の上塗りをしないためにも、私達は節度を持った態度と礼儀を尽くす必要が有りました。それにも関わらず、ライアネットー様の今宵の騒ぎ。それはもう、宰相様がお怒りになっておかしくないのです。  という事で。ライアネットー様、お顔の色が真っ青になってしまいました。ようやく、ご自分の状況をお分かり頂いたようでございます。ホントもう、宰相様。夜会を台無しにしてしまいまして申し訳なく思いますわ。お父様とお母様と頭を下げてお詫び致しましたところ、我が家はお咎め無しにして頂けました。  ***  それから1ヶ月後。我が家に公爵家から内々でお詫びの品が山程に、ご丁寧なお詫び状が届きました。その中には、ライアネットー様がこんなにも残念な息子だとは思わなかったので、一から鍛え直すと同時に、廃嫡にする。更にはナルミネア様との婚約破棄に、子爵家へ公爵家から抗議したので、ナルミネア様は子爵家から勘当され、平民になってしまったそうです。  ……まぁ随分厳しい決断をされましたわね。まぁ宰相様に睨まれてしまったなら、公爵家と言えどもタダじゃ済みませんし、子爵家は尚のことでございますわね……。
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