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「ふぅ」
私は詫び状を読み終えて、溜め息をつきました。かなり長かったのですわ。
「ミルア、どうかした?」
「え、ええと、公爵家からのお詫び状が長くて少々疲れましたの」
「じゃあお茶にしようか」
ニコニコと私の隣に密着して、と言いますか、私の腰を引き寄せて抱きしめて来るのは、義弟のはずのベルノルーニ。ベルノ。ベルノは侍女にお茶を淹れるように言って、私の髪を手で梳くのですが……。
「あの、ベルノ?」
「何? ミルア」
「距離……近く有りませんこと?」
3歳下のベルノは現在13歳なのですが……。この色気といい、距離感のおかしさといい、ええと。一体どういう事なのでしょう……。いえ、分かってはいます。分かってはいるのですが……。
「おかしくないでしょう。僕とミルアは婚約したんだから」
「そ、それはそうなのですが」
「問題ある?」
「だって、今まで弟、でしたのに……」
「そうだね。でも、僕はミルアの事、女性として好きだったよ。僕がこの伯爵家に来た時にはもうミルアは婚約していた。最初はきちんと姉として接していたけれど、段々その優しさと明るさに惹かれて。淑女としても素晴らしい女性だと思ったら、好きになってた。
だから、ずっと悔しかったんだ。ライアネットー様に嫉妬していた。
でも、ライアネットー様がミルアに婚約破棄を言い渡したから。ミルアの何が不服なんだってムカついたけれど、でもチャンスだと思ったんだ。僕とミルアが結婚しても良いでしょう? そう思って。
義父上と義母上に即刻お願いしたんだ。そして許可をもらったから、婚約者。って事で、これから僕は全力でミルアを口説くからね。
元々ミルアは伯爵家のために婿を迎えるわけだったんだし、僕も伯爵家の跡取りとして育ててもらっているわけだし。そんな2人が結婚するなら、伯爵家は安泰だよ」
言っている事は多分正しいのかもしれないのですが。み、耳元で、耳元で話す事ですのー⁉︎ どういうわけか、私の背中がゾワゾワしますー!
というわけで。私、5年後、義弟として引き取られたベルノルーニに男性として意識させられまして、しっかり好きになりまして……。口説き落とされてしまいました。
「ミルア、大好きだよ」
「私もベルノが大好きです」
愛してる、なんて言わなくても、きちんと私を大切にしてくれて女性として好きになってくれて優しい旦那様が出来ました。
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