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「では、パールミルアを正妻に、あの女を愛妾に、という話は無しで構いませんね?」
お父様が言質を取りたい、と、執事に確認します。執事も「有り得ません」と否定しましたし、公爵様からお父様に宛てたお返事の手紙でも「さすがに有り得ない」と否定したもののようです。
私もお父様もホッとしました。これでまたもや公爵様がライアネットー様を甘やかすようなら、と危機を懐いてました。だって所詮こちらは伯爵家。向こうは公爵家ですもの。逆らえません。
だから、もしもライアネットー様の仰る通りに公爵様が言って来たなら、家の恥であっても、宰相様経由で国王陛下に直訴する心算である、とお父様が仰ってました。
……そうならなくて良かったですわ。そんな大ごと、恥ずかしくて仕方ないですもの。
とにかく、ライアネットー様の申し出は、無くなりましたので、私は安堵しました。それと同時に、私の恋心も綺麗に消えました。
何故かは分かりませんが、私を正妻に、ナルミネア様を愛妾に、と、考えられたライアネットー様。とてもじゃないですが、私、引きましたわ。
ハッキリ言って「無いですわ。有り得ませんわー」と。これでも仄かな恋心を……なんて有り得ません。綺麗さっぱり消えました。未練も有りません。
お父様に新しい婚約者を探してもらう事にしましょう。とはいえ、公爵家に不要と言われた私です。貰ってくれる方が居るとは思えませんのが、ちょっと辛いですわ。年の離れた方の後妻にでもなるしか有りませんわねー。
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