第2章

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第2章

正午を迎えました、雲の少ない怯えた灰色の空に、ババババという轟音(ごうおん)(とどろ)き、コティサンギの十字路を行き交う人々が、(まぶ)しそうに見上げます。 アメリカの軍事用ヘリコプターが、街へ(くら)い影を落としながら南へ向かっています。 南方はタリバン反政府組織の拠点地です。 ジハードの(ゆが)められた狂信的な思想のタリバン兵の若者たちは、インドの脅威に怯える隣国パキスタンが、貧困と内戦に苦しむアフガニスタンの若者たちに青空神学校を開き、自分たちに都合のよい傭兵(ようへい)として教育し生まれたものです。 しかもソ連のアフガニスタン侵攻に対抗するためにアメリカが送った対軍事用ヘリコプター追撃兵器スティンガーを流用し、アフガニスタンの若者たちへ与えました。 スティンガーを手にした若者はタリバンとなって、ついにはアフガニスタンに政権を樹立しますが、反テロを大義名分に掲げるアメリカやNATOの空爆や最新兵器により政権は(もろ)くも崩壊します。 しかしアフガニスタンの山岳地帯にタリバン勢力は生き残り、今やふたたびその勢力を拡大しつつあります。 アフガニスタンの太陽の光の下で、この荒涼とした山岳地帯を舞台に終わりの見えない争いは続いています。
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