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匠はショックを受けた顔をして私を見下ろし、そしてチラッと胸の辺りを見ていた。
「そんな格好で抱き着かれたら、誰でもそう思うだろうが」
この盛大なため息は、自分の心を落ち着かせているのかな。
ちょっとだけ私の胸を見たあとは、目を瞑って何も見ないようにしている。
「……素っ気なくされると寂しいんだけど」
俯いて落ち込んだ声を出すと、匠がこっちを見た気がした。
ただ、私は恋人同士らしく、くっ付いてまったりした時間を過ごしたかっただけだ。
別に高望みなんてしない。ドラマや映画で観た、恋人同士の甘い時間を匠と過ごしたかっただけ。
それを望んだだけなのに、どうして男ってすぐにそっちの方向に思考が働くのだろう。
今だって、煽った気なんかさらさらないのに、すぐにそういう風に考える。
私はしゅんとした顔をして一人布団に潜り込む。
すると、匠は後頭部を掻き、私の隣にもう一度横になった。
そして自分の腕の下に私の頭を乗せて、強引に引き寄せる。
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