●第一章●

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私には物心がついた、幼いころからずっと憧れ続けているものがある。 それは子ども心に憧れを抱かせた、童話の中の愛溢れる物語の主人公だ。 それを具現化したそのもの……私はそれを両親そのものだと昔から思い込んでいた。 でも、父と母の友人たちに聞けば、口を開けば二人の相性は最悪に悪かったと口を揃えて言う。 二人は顔を合わせれば悪態をつき、それに加えて意地っ張りで頑固で可愛くない性格の母と、氷のように冷たい顔をして仕事にしか興味がなく、さらにプライドが高くて野心が強かった父。 こんな二人が見合いだったとはいえ、なぜ結婚まで辿り着いたのか、当時は不思議でしょうがなかった、そして夫婦生活はうまくいくのかと心配しかなかったと言っていた。 ただ、それは友人たちの杞憂に終わり、本人たちは色々とあったみたいだったけれど、今では二人が結ばれるのは運命だったんじゃないかって言えるくらい、以心伝心で繋がっている私の自慢の両親だ。
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