●第九章●

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「あぁ、悪い」 バツが悪そうに両眼を右手で覆い、私の服を取ろうと起き上がる。 でも、私は匠の左腕を掴み、ギュッと抱き着いた。 「もうちょっとゴロゴロしていたい。ねぇ、腕枕して」 思い切って甘えてみると、匠の身体が一気に膠着して固まってしまった。 表情も固まってしまい、思考は停止してしまったみたい。 「匠、聞こえてる?」 熱い素肌の腕にしがみつき、彼を見上げて甘えてみる。 固まっていた身体が動き出したと思ったら、フルフルと震えだした。 「あ、朝から煽るな……!」 「えっ、煽ってないし! 甘えてるだけだもん。そんなことばっか考える匠、いやらしい!」 「い、いやら……!」
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